プロローグ「些細なきっかけ」




俺は朝から憂鬱だった。いつものことだが。

なぜかって?その理由は寝不足だからだ。

学校が8時半からってのに納得がいかない。

というより、学校があること自体おかしいと思う。

目の前の路地でいつものように小学校のガキどもが騒いでいた。

いつものことだが、煩わしいことこの上ない。さっさと登校しやがれ。

軽くからんでやろうか、と思っていると、一人が他のやつに押されて、道路に飛び出す。

当然のように、トラックが走ってくる。急すぎて止まれない

俺は盛大にため息をついた。そしてトラックを見据える。

「“止まれ”」

トラックは、子供を轢こうとして、そして、寸前で止まった。まるで、何かにぶつかったかのように。

あたりでは近所の人が子供の悲鳴を聞いて駆け出してくる。

俺は再びため息をついた。そして、そういった野次馬にぶつからないよう、学校へと向かった。

―――まったく、今日は最悪な日だ。―――




野次馬の中で、彼を見る人影があった。

それはおもむろに携帯を取り出し、耳に当てた。

「・・・・・・・ですか・・・・力を持つ人間を発見しました・・・・はい・・・わかりました・・・」

そしてそれは彼の後を追いかける。彼と同じ学校の制服を着た、彼女は。




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