第六話「半強制的修行前編」
・・・・・・・・
・・・・・めて・・・・・
・・・・・めて、・・・・・いちゃ・・・
バシュッッッッ!!!
・・・・・・・
ガバッ
・・・・・・・・・・・・・・・
久しぶりだな、この夢を見るなんて・・・
おかげで寝起きにもかかわらず頭がすっきりしていた。
ここは沙理奈たちの事務所。の寝室だ。昨日あのあと、「じゃあ新入社員も入ったし、宴よ〜〜!」
と、いつの間にか食料やら酒やらを用意した沙理奈によってパーティのようなものが開かれたのだ。
たしかそこで夕飯をご馳走になったついでに、沙理奈に酒を飲まされ、そのあとは・・・・・
・・・・思いだせん。(ちなみに隼は家の事情とかで帰ったが)
多分酔って寝てしまったところをここに連れてこられたのだろう。今日は土曜だから学校に関しては心配はいらない。
とりあえず、いつまでもこうしてはいられないので、事務所のほうに行くことにする。
寝室は意外と広く、隣は事務所とドアでつながっている。何でもこのビルのこの階はすべて沙理奈が所有・改造をして、広大な事務所兼居住スペースにしているらしい。
ドアを開けて事務所に出る。そこには沙理奈と夏葉がいた。二人とも驚いたようにこっちを見る。
「・・・邪魔したか?」
「あ・・・ううん、別に平気よ。おはよう」
「遅かったわね。もう10時よ」
時計を見ると確かに10時をさしていた。いくらなんでも寝すぎたようだ。
「そりゃそうと、あんたちょっといい?」
沙理奈が聞いてくる。俺は首を傾げるが、沙理奈はかまわずに続ける。
「あんた、昨日言禍霊を言霊で滅ぼしたんだって?」
ちょっと雰囲気が変わったのを感じたが、俺はうなずく。
「それから、これまではいつもそうゆう風に短縮して言霊を使ってるの?」
俺は眉根を寄せる。夏葉は沙理奈に耳打ちする。沙理奈はうなづく。
話しかけといて勝手に話を進めるのは良くないことですよ、お二人サンよ。
「それじゃあアンタ今日暇ね。暇よね。わかった。じゃあ今日アンタは修行ね」
「勝手に決めるな、だいいち修行って何だよ」
俺は至極もっともな意見を口に出す。沙理奈の怖さは知ってるが、知ったことか。
ところが(というかやっぱり)、沙理奈の顔には笑みが浮かんでいた。それを純粋に笑みと分類できるかは微妙な邪悪な笑みだが。
「ふ〜ん。じゃあいいわよ。“月読之龍神よ、我が命に従え”」
うざっ!!!!・・・・・うぅぅぅぅ
「したが・・・います・・」
「よろしい♪“解”」
・・・・っくそ、そういえばこいつと夏葉には俺の真名を知られてるんだった・・・
俺はあきらめて従うことにする。
「それで、何をするんだ?」
夏葉が前に出る。
「今日一日で、言霊についての基本的な知識と、使い方を学んでもらうわ。監督は私と、あと午後からは部活帰りに武が来るわ」
結局沙理奈は楽なほうかい!
「まあ、じゃあよろしく。鈴音さん」
俺の言葉に夏葉はちょっと困ったような、恥らったような顔をして、こういった。
「名字で呼ばないでくれない?なんか恥ずかしくて。できれば名前で呼んでほしいんだけど」
普通逆だろ。第一名字で呼ぶのはおれ自身が恥ずかしいからでもあるんだが。
「え・・と、よろしく・・夏葉」
「ウン、よろしく。龍哉君」
そのあと俺は残っていた朝飯を食べるためにリビングへと向かった。
事務所の端で、沙理奈と夏葉は話を再開させた。
「・・・やっぱり彼は相当な力を持ってるみたいね。」
「でも、”滅びの言霊”を使ってるってことは・・・」
しばらくの沈黙。そして沙理奈が続きを口にする。
「・・・・彼も、反摂者ってことね」
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