第五章プロローグ
「そうか。やはり本当か…」
「ええ。“絶衛”の死亡は覆せませんね。これだけの証拠がそろっていれば」
「しかし、どこか意図のようなものが感じられるのですが…」
「問題はそこではない。“絶衛”が死んだということは、協会が我らとの条約に反したということだ」
「しかし、奴らからは管理外の者の行動であり、条約に反したわけではない、との返答がすでに…」
「フン、あの戎璽とか言う人間か。俺はどうにも信用できないね」
「信用できるかどうかは難しい問題です。しかし、いくら管理の問題であちらに非があるとはいえ、この情勢で協会と敵対するのは…」
「わかっておる。…例の痕跡は何なのかわかったのか?」
「……はい。…あれは、“瞬爪”でした」
「…あまりよくはない結果ですね」
「…奴も一枚かんでおる、ということか」
「………」
「とにかく、奴の動向を探るのが一番よかろう。“瞬爪”――瞬迅九尾宗助のな」
「確か、今の名は…」
「…宗、治狼ですね」
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